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療育センターによる保育所等巡回訪問を受けてみて感じたこと

コラム

すもーるすてっぷ保育園では、慢性疾患のあるお子さんの保育も行っていますが、
定型発達でないお子さんについては特に、日々悩み、迷いを持ちながら過ごしています。
例えば、食事の形態はこれでいいのだろうか、
もっと発達を伸ばせる関わり方やおもちゃはないだろうか、
姿勢はこれがベストなんだろうか・・・、
と小さなことの迷いが毎日毎日出てきます。

そのあたりの疑問に対しては、理学療法や作業療法、
言語指導や摂食指導などなど、その道の専門家がいるので、
その教えを仰ぎたいな、と思うこともあります。

そこで、横浜市が実施している、
保育所等巡回訪問支援事業のサービスを利用してみることにしました。

このサービスは、園が療育センターに依頼をし、
療育センターのソーシャルワーカーさんが、園の指導にきてもらうものです。
保護者が受給者証を取得して巡回訪問を依頼する保育所等訪問支援もありますが、
今回は、そのサービスではなく、園の支援にきてもらったものです。

そして先日、園に療育センターのソーシャルワーカーさんが来てくださいました。
予め質問を送付しておき、当日、半日保育を見学した後、
話し合いの時間でフィードバックをいただきました。

そこで感じたことは、このサービス一つとっても、
現在の福祉事情を如実に反映しているな、ということです。

まず、先に準備しておいた、子どもの発達や関わり方に関するアドバイスについては、
色々と情報をいただけました。
療育センターと関わりをもつことで、定期的に情報交換できるようにもなりそうで、
とても心強く思いました。
よりよい保育につながっていければと思います。

一方で、連携の部分に関しては、あまり有効な回答が得られませんでした。
すもーるすてっぷ保育園卒園後の次の保育園への移行に関して、
公的機関である療育センターとしてできることがないのか
探りたかったのですが、今のところ、活用できるソースはありませんでした。
むしろ、年々障害児の地域の保育園や幼稚園での受け入れ数が
増えていることを受け、特に問題意識もないのかなとさえ思えてしまいました。
地域の児童発達支援への連携に関しても十分ではなく、
情報の集約もできていない状況で、行政への取りまとめを
療育センターとしても求めている、とのことでした。

つまり、福祉制度の発展のおかげで、
福祉サービスは整っていて(十分かどうかは別として)、
様々な事業所が多様なサービスを展開しているのですが、
各機関の連携の部分が残念なことにブツッブツッと途切れてしまっているので、
事業所と園、家庭がつながっていかない状況が見えました。
それぞれはいいことをしているのに、もったいないなぁ、
というのが正直な感想で、Small Stepとしては、そこに焦点を当てていきたいな、
と思いました。

あともう一点、この巡回訪問支援のサービスについて感じたこと。

先にお伝えした通り、巡回訪問には、園が依頼するものと、
保護者が依頼するものの2通りがあります。
保護者が依頼するものは、療育センターや児童発達支援事業所の
担当職員さんが訪問して、園への助言をするサービスです。
(詳しくはこちら)
http://www.rakuraku.or.jp/shienhi/guide/service/027.html

背景として、この巡回訪問支援サービスがそれほど活用されていないという話を聞きます。
実際、我が家の娘にもこのサービスを利用したことがあるのですが、
MAX2週間に1回のペースで利用できるものが、結局1年で1回ほどしか利用しませんでした。

今回は個別の担当職員ではなく、ソーシャルワーカーさんが
来てくださったわけですが、なんとなく、このサービスが、
園にとって「使いにくい」と感じられてしまう要素を感じてしまいました。

それは、そのサービス内容にあると思います。

ホームページに記載されているサービス内容がこちら

専門スタッフが保育所等を訪問し、次のような専門的支援を行います。
1.障害児本人に対する支援:集団生活適応のための訓練等
2.訪問先施設のスタッフに対する支援:支援方法等の指導等

特に2.です。
すもーるすてっぷ保育園のように、小さくて情報共有がしやすい施設にとっては
いいサービスかもしれません。
が、もしもっと規模が大きかったとして、その中の一職員が、専門家に
「食事の形態は変えた方がいいですね」
とか、
「個別で関われる時間が取れるといいですね」
とか指導を受けたときに、各園の考え方や保育方針、運営状態も色々ある中で、
多様な考え方や、中には長い保育経験があったりする職員
がいたとして、そんな施設でどこまで実現できるだろうか・・・と思うのです。
「なかなか受け入れてもらえないこともあって」と言っていた方の言葉を思い出します。

思うに、園が求めているのは、
「教えてあげる」
ではなく、
「一緒に考えよう」
じゃないかな、と思うのです。

それは日々の生活の中で、少しずつ変えていくしかなくて
年に1回や月に1回「指導」では園側の負担も大きいのでは、と推察します。

互いの負担が大きくならずに、当たり前に気軽に相談し合える関係、
そんな風につながっていけるといいのかな、と思っております。
その在り方も模索していきたいと思います!

また新しい気付きを得られたよい機会となりました。
来てくださったソーシャルワーカーさん、ありがとうございました!


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